バックパッカーのバイブル、沢木耕太郎さんの深夜特急〈1〉香港・マカオ を読んでから、重慶大厦(チョンキンマンション)にどうしても泊まってみたくなりました。ウォンカーウァイ監督の名作、恋する惑星 の舞台となったのも重慶大厦 です。
チョンキンマンションの名は、バックパッカーなら誰もが知っているかと思います。香港国際空港は、アジアを代表するハブ空港なので、香港を拠点として各地へ散らばっていく旅行者が多いのです。
香港随一の繁華街である、ネイザンロード沿いに位置するこの建物は、1961年に完成しました。住居や安宿、レストラン、ショップ等が入る、16〜17階建ての5棟のビルから成っています。
このビルには沢山の安宿が密集していますが、上の階になるほど、火事の際に逃げ遅れる確率が高いという事で、宿泊料金も安いようです。エレベーターが2機しかないのに加えて、それぞれ偶数、奇数階に止まる仕組みなので、結局1台しかないのと同じで、エレベーターの前には常に人が集まっています。
チョンキンマンションの情報集めには、香港・重慶大厦(チョンキンマンション)への招待というサイトが非常に役立ちました。
香港へは返還前に行った事がありますが、夜中の真っ暗闇の中、海に浮かぶ、あのスリル満点な空港に降り立ち、香辛料のキツイ匂いに出迎えられた記憶があります。2009年の香港は、あの頃の野生的な雰囲気は薄れ、都会的な街に変貌を遂げていました。
3階にある、DRAGON HOTEL に宿泊したのですが、到着が夜中の1時を過ぎていたので、宿の入り口はすでにガッチリ閉まっていました。
ドアを何度も叩いてやっと人が出てきたと思ったら、寝ていたのか、下着のような格好で、宿の女将、林さんはシャワーを浴びているので、待っていてとのことでした。
林さんはとても感じの良い方で、何故か私たちのことを気に入ったそうで、宿代をディスカウントしてくれました。香港らしい、雑多な街並みです。このごちゃまぜな、カオティックな雰囲気は、まさしくアジアです。香港には背の高いマンションがたくさん並んでいますが、今回、チョンキンマンションに加えて私が行ってみたかったのが、牛頭角下邨という団地です。取り壊しがすでに決まっていたので、このチャンスを逃すべからずして行ってきました。
1967年に香港政府によって建てられた、庶民のための団地です。昔ながらの香港の雰囲気を感じられる場所かもしれない、と期待して行ってみました。
私が、こういった団地やチョンキンマンションに心惹かれるのも、悪の巣窟として名高い、今は無き「九龍城(九龍城砦)」を心の中で追い求めているからだと思います。
九龍城とは、1994年まで存在していた巨大なスラム街のことで、中国、イギリス両国の法が及ばない無法地帯として、一度入ったら二度と出てこれないと噂される程の魔窟でした。午後からは、旺角(モンコック)を散歩しました。金魚街では色とりどりの金魚たちがビニール袋に入れられて売られています。ちょっと気の毒ですね!香港島にはミッドレベルエスカレーターという、全長800メートル、世界一の長さを誇るエスカレーターがあります。
香港島の山側から続いていますが、エスカレーターの周辺にはショップやレストランなどが沢山あるので、途中で降りて好きなところへ行けるので便利です。このエスカレーターも、映画「恋する惑星」に登場しました。
香港島は急斜面や坂道が多く、お金持ちの人ほど、山側の高いところに住んでいます。それにしても人口密度が高そうです。2日目の夜は、九龍半島側のEATON HONG KONGに宿泊しました。 MTR佐敦駅から歩いてすぐの場所にあり、とても便利で快適なホテルでした。夜になれば、男人街(Temple Street)のナイトマーケットへも歩いて行けます。明日はマカオへ向かいます!
<HOTEL-1>
DRAGON INN
<HOTEL-2>
EATON HONG KONG
<MAP>
<TRAVEL MEMO>
沢木耕太郎の、深夜特急を知らないバックパッカーはいない、といっても過言ではないでしょう。時を超えてもなお、読み継がれるバックパッカーバイブル!
と、ウォンカーウァイ監督の名作、恋する惑星。英語タイトルは、Chunking Express、チョンキンマンションが舞台の映画です。金城武がカッコイイ。